オーバーアチーバーとは、心理学において知能水準から期待される力よりはるかに高い学業成績を示す人のことをいいます。
その逆に、知能水準から期待される力より低い学業成績を示す人はアンダーアチーバーと呼ばれます。
オーバーアチーバーに対して、高い学業成績を示すのはいいことじゃないか、と思う方も多いでしょう。
しかし、これはそのように簡単に済ませてしまっていい話でもないのです。
知能水準と学力
みなさんはIQという言葉を耳にしたことがあると思います。
IQ(知能指数)とは、実年齢に対してどのくらい知能が発達しているのかという発達進度をみる指標です。
IQ100がその年齢の基準だとして、それよりも高い数値だと同い年の人達と比べると発達が進んでおり、低い数値だと発達が遅いということになります。
よく勘違いしている人に多いのが、IQはだれとでも比較できるものだと思っていることです。
しかし、先ほど説明したとおり、実年齢に対しての指標なので、10歳のIQ120と20歳のIQ120では、その意味合いが変わってきます。
そして、なにより勘違いされることが多いのが、“IQが高い=学力が高い”という構図です。
もちろん、IQが高い人の方が、記憶力がいいという繋がりはあります。
しかし、IQと学力はかならず通じているというものではないのです。
これを示す言葉として、オーバーアチーバーとアンダーアチーバーが挙げられます。
オーバーアチーバー・アンダーアチーバーとは
知能水準に比べて高い学力を示す人をオーバーアチーバー、低い学力を示す人をアンダーアチーバーと言います。
IQに関係なく学力のみで判断される試験を通過することで入学できる難関大学において、オーバーアチーバーの割合はおのずと高くなります。
逆にアンダーアチーバーの割合は低くなるといえるでしょう。
オーバーアチーバーの弊害
それでは、優秀な学業成績を示すオーバーアチーバーのなにが問題なのでしょうか?
彼らは、難しい目標に対して努力することで達成する経験が自信となっています。
そのため、成功への度を越した執着心や、失敗した時のダメージが大きく、一つのきっかけで崩壊してしまう可能性があります。
また、成功のために長時間働き睡眠時間を削るなど、不健康な生活になることを厭わないという人までいます。
つまり、頑張りすぎてしまい、結果的に負のスパイラルに落ちてしまう場合があるのです。
ここでは、オーバーアチーバーの方がとる、注意すべき言動や行動について解説していきます。
他者に対して過度に批判的な態度をとる
自分の成果・成功に固執するため、周囲の人間にたいして意見を無視したり、欠点を探すといった行動をとる場合があります。
こういった行動はメンバーとの関係を悪化させ、望まない結果を生んでしまう可能性があるので注意が必要です。
仕事中毒・勉強中毒
一部のオーバーアチーバーは、不安や焦燥といったネガティブな感情を回避するための行動として、仕事や勉強に打ち込みがちになります。
常に仕事や勉強のことを考え、オンオフの切り替えができずにまともな休暇をとることもありません。
こういった中毒化した人は、不必要に細かい部分にこだわるため、仕事や勉強の効率が逆に下がってしまうことがあります。
自己批判
オーバーアチーバーは、他の人に比べて失敗と向き合うことが苦手です。
今まで元気で活力のあった人が、失敗を機に口数がへり、休みが増えるといったことがあれば注意してください。
目標が達成できないと、もう終わりだ、人生詰んだ、と非常にネガティブな感情に取りつかれてしまうこともあるので、とても危険な兆候であるといえます。
非倫理的な行動
こういった人はほとんどいませんが、ごくまれに法的・倫理的なラインを越えてしまうことがあります。
成果・結果・成功のために、越えてはいけない一線を越えるといった人は少なからずいます。
オーバーアチーバーの対策
オーバーアチーバーになるのは、今まで育ってきた家庭・学校の環境や人間関係などが大きく影響するといわれています。
大人になってから、これをまるっきり変えるというのは難しいかもしれません。
しかし、対策することによって回避できる問題もあるでしょう。
同僚や上司が、仕事の優先順位を確立したり、進行を確認してあげたり、本人に直接精神的問題があると伝えないなど、サポートしたり気を付けたりできることはあるかもしれません。
効果的な方法の一つとして、心理カウンセラーに相談してみるのもおすすめです。
最近では、オンラインでリーズナブルに心理カウンセラーの方に相談が出来たりするサービスもあるので、軽い気持ちで一度試してみるのもいいでしょう。
オーバーアチーバーまとめ
今回は、IQに比べて高い学業成績を示すオーバーアチーバーについてまとめました。
オーバーアチーバーは努力によって成果を出すことのできる素晴らしい人ではありますが、その一方注意すべき点もあるということを認知して、うまく向き合っていただければと思います。