男性看護師の魅力的な転職の給与と将来性【認定看護師 解説】

子供の下痢を診察する医師

自分の年収は高いのだろうか、低いのだろうか?このまま仕事を続けていてよいのだろうかとお悩みの男性看護師さん。

看護師は、女性中心の職場環境のため、男性看護師にとっては肩身の狭い思いをして働きづらさを経験すること多いです。

また、同年代の男性と比較すると看護師の年収に不安を感じ、結婚した時に将来一家の大黒柱としてやっていけるのかと悩む男性看護師もいます。

一方で、女性の看護師と比較するとまだまだ少ない男性看護師ですが、収入の安定性も抜群で、いかなる状況においても困ることはないといえます。

また、高齢化に伴って必要になってくる業務において男性看護師の力が求められるようになり、需要はさらに増えていくことでしょう。

本記事では、男性看護師の平均給与と将来性について話していきます。

男性看護師の割合と人数について

男性看護師の割合と人数

平成18年 正看護師数 811,972人
女性看護師:773,944人
男性看護師:38,028人

平成20年 正看護師数 877,182人
女性看護師:832,298人
男性看護師:44,884人

平成22年 正看護師数 952,723人
女性看護師:898,975人
男性看護師:53,748人

平成24年 正看護師数 1,015,744人
女性看護師:952,423人
男性看護師:63,321人

平成26年 正看護師数 1,086,779人
女性看護師:1,012,811人
男性看護師:73,968人

平成28年 正看護師数 1,149,397人
女性看護師:1,065,204人
男性看護師:84,193人

(参照データ:平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況)

平成28年末に就業している正看護師は約114万9千人、そのうち女性は約106万5千人で92.7%、男性は約8万4千人で7.3%です。

男性正看護師の人数は平成18年では約3万8千人でしたので、10年間で2倍以上も増加しています。

数字で見るとまだまだ大多数が女性であり、男性看護師は少数派と思うかもしれませんが、正看護師だけでなく准看護師や保健師でも男性看護師の割合は増えています。

男性看護師の増加の理由について

男性看護師が年々増えている理由を3つ解説していきます。

▼男性看護師を配属する部署が増えた

10年前の男性看護師は暴力や暴れる患者への対応ができるよう精神科に多く配属されていたイメージですが、近年では多くの病棟で男女バランスを考えて配属されています。

特に泌尿器科では男性患者は羞恥心から男性看護師を希望する患者が増えていますし、手術室や救命救急、ICUなどハードな業務をする部署では多く採用される傾向にあります。

男性看護師が実際に活躍している現場は、新しく配属された男性看護師が働きやすい環境になり、男性看護師が増えると同時に年々職場環境が変化してきていると言えます。

▼患者側の男性看護師に対する認知度が高まってきた

ほとんどの病棟で1人以上の男性看護師を見かけるようになってきたので、近年では患者側も「男性看護師=珍しい」ではなく「男性看護師=頼もしい」というイメージになってきています。

職業上も「看護師は女性の職業」というものから「男女ともに誇りを持った専門職」という認知に変わってきました。

▼大学の看護学部が増えた

それまで看護師の養成課程は短大と専門学校だけでしたが、2002年から4年生の看護学部が加わり、男性も大学進学を考えた時に選択肢の一つになるきっかけとなりました。

今後も増加が見込まれる男性看護師

高齢者数が年々増加していくため、今後の医療業界・介護福祉業界では、人材不足がさらに顕著になるでしょう。

国の施策では、高齢者の療養環境の充実を図るために在宅ケアの受け皿をつくるべく、訪問看護師の育成を促しています。

現在男性訪問看護師就業者数は、全男性看護師のうち1%にも満たないほど少ないのが現状ですが、訪問看護では体力や信頼関係が問われ、男性看護師の需要が高まっています。

特に訪問看護では男性看護師が訪問看護ステーションを立ち上げて経営者や管理者として働く選択肢もあります。

▼転職をする男性看護師も多くなってきた

男性看護師の人数が増加傾向にあり、職場での男性看護師の立場も確立されてきましたが、それに伴って転職をする男性看護師も相対的に増えてきました。

男性看護師が増えてくれば、「少数派だから仕方ない」と諦めることや現状で我慢せず、さらに働きやすい環境を求めて転職を考える男性看護師も多くなるでしょう。

転職理由は様々ですが、その中には給与面やキャリアアップの面で不安を感じるという意見があります。

男性看護師の給与・平均年収

男性看護師の給与・平均年収
看護婦から看護師と呼ばれるようになり、男性看護師も珍しくなくなってきましたが、男性が将来家族を作って一家を養うことを考えた時に、一生の職業としては看護師を選びにくいようです。

その背景には、看護師の給与・年収が他の職業に比べて低いというイメージがあります。

男性の看護師平均年収と全体の平均年収 比較

平均年齢 36.0歳
平均勤続年数 6.9年
平均年収 4,894,200円
平均給料(月収) 339,400円
平均賞与 821,400円

男性看護師の平均年収と給料より(平成29年賃金構造基本統計調査より)

平成29年の調査では、男性看護師の平均年収は約489万円、平均月収は約33万9千円です。

女性看護師の平均年収は約477万円、平均月収は約33万1千円なので、女性よりも平均年収が高い結果となりました。

平均年収が上昇していることは、徐々に男性看護師の昇進機会が増えてきていると考察できます。

実際に男性看護師の平均年収はどのくらいなのでしょうか。

男性看護師の平均年収は同世代と比較すると低い?

世間一般には、看護師は高給与と言ってもそれは女性の場合です。

同世代の男性と男性看護師の平均年収を比較すると低いため、看護師をしていては一家を養えないのでは、とイメージされているようです。

男性看護師の平均年齢は36.0歳で、同年代の一般的なサラリーマンの平均年収が約491万円ですからサラリーマンの方が年収は高いことになりますが、以下のデータに注目してください。

▼看護師の管理職と非管理職の年収比較

管理職と非管理職の看護師の年収比較です。(厚生労働省:職位別の看護師の年収額)

非管理職の常勤看護師 年収5,192,417円
管理職の常勤看護師 年収6,483,444円

これは、フルタイム常勤勤務の正規職員での平均データなので、常勤看護師の年収と前述したサラリーマンの年収を比較すると常勤看護師の方が高いことが分かります。

しかしながら、男性看護師からは給与に対する不安をよく聞きます。

年齢が上がればサラリーマンでは昇進が確実に望めるので給与も右肩上がりだと想像できます。

しかし、男性看護師の場合は男性看護部長などの男性管理職が少なく、昇進が本当にできるのかと将来に不安を感じやすいのかもしれません。

▼男性看護師が高収入の就職先を見つけるには?

男性看護師が給与重視で将来的に収入を上げていきたいと思うなら、管理職に昇進できる職場を見つけることが重要です。

看護師は女性が大多数の職種なので、当然比率的には女性管理職が多いわけです。

男性看護師が在籍していても、管理職に昇進する前に何らかの事由で退職してしまう人が多い職場ならば、男性管理職はほとんどいないでしょう。

男性看護師の所属人数だけでなく、男性看護師の勤務年数や男性管理職の人数を把握して、前例があるかどうかを確認することが大切です。

男性看護師に期待されること

男性看護師に期待されること
男性看護師に女性看護師や職場のスタッフが期待することは何でしょうか。
5つのポイントを紹介していきます。

男性看護師の体力

男性は女性に比べて腕力・体力的に優れているため、移乗やベッド上全介助などの直接介助の場面や立ちっぱなしのハードな業務では男性看護師が歓迎されることが多いのです。

女性看護師数人かかる業務が、男性看護師一人いれば短時間で済んで負担が減るということもあるので、非常に重宝されます。

女性とは違う視点のケアができ、業務改善に役立つ

高齢の女性からは息子のように、子どもからはお兄さんや父親代わり、と女性にはできない役割を果たすことができ、女性とは違った視点のケアをすることができます。

また、女性が気付かない業務の効率化や安全性など、これまでの慣習の弱点を分析することや、具体的に対応策を提案できる人が多いので、業務改善に役立つことも多いのです。

患者からの信頼感を得られる

身体が不自由な人のケアをするとき、移動・移乗を介助するときには、身体の小さな女性よりも男性看護師の方が患者から信頼されます。

やはり力がある方が安心して身体を預けることができるのでしょう。

また、何かお願いをするときや医師指示を守ってもらいたいときなど、女性よりも男性看護師が話した方が素直に聞いてもらえることも多いです。

継続して勤務ができる

女性の場合、結婚や出産などのライフイベントで退職することや、数年の休暇を取って職場を離れることがあります。

男性看護師にはライフイベントがあっても継続して勤務でき、職場での人員配置や将来的な役割担当を予定通りに実現できるので、期待も大きいものになります。

スタッフ間の良好な雰囲気づくり

女性が多い職場なので、時に雰囲気が殺伐とすることや不穏な空気が流れることもあります。

その中に中立的立場の男性看護師がいると、派閥の対立も中和されることや和やかな雰囲気になるので、スタッフ間の良い雰囲気づくりに期待を持つ上司もいるのではないでしょうか。

男性看護師の将来性について

男性看護師の将来性
年々男性看護師の割合は増えていますが、それもこの10〜15年のことです。

現在師長や部長などの管理職に就いている方の世代では、ほとんど男性看護師がいないため、女性管理職が多くを占めているでしょう。

女性看護師が牛耳っていて古い慣習があったりすると男性看護師の立場が弱かったり、ある程度の年齢になれば昇進したいという希望があっても、男性管理職の前例が少ないことから将来性やキャリアに不安を持つ人が多いようです。

男性看護師の立場の確立

一昔前は、女性中心の看護業界において男性看護師ならではの役割を発揮しづらい環境でしたが、男性看護師が増加してきた2012年、三重県では「男性看護師会」を創設し、2014年に「全国男性看護師会」へと発展させました。

また2014年年には一般社団法人「日本男性看護師会」が発足されて、男性看護師の立場を確立し、その存在を広めています。

実は昇進に有利

男性は結婚・出産などで退職や数年単位の休暇を取ることがほとんどないので、常勤で長く勤めることができます。

つまり、長期目標設定をしたときにキャリア形成やキャリアアップを確実に実現しやすいので、女性に比べると実は昇進するには有利なのです。

男性看護師の管理職も増えてきている

男性看護師の絶対数が多くなっている近年、少しずつ男性管理職も増えてきています。

産休・育休などでブランクを開ける同期の女性に比べると、ずっと継続していた男性が先に昇進のチャンスを掴むというわけです。

女性中心の業界だからといって男性が昇進に不利というようなことはありません。昇進のタイミングは経験年数と人事評価で決まるので男女差はなく、平等です。

できるだけ積極的に役職を経験してキャリアを積んでいれば、自然とチャンスが巡ってきます。

サラリーマンに比べて、年収は安定している

一般的なサラリーマンと比較すると、男性看護師という職種は経済情勢や会社(病院)経営に関わらず平均年収が変化しにくく安定しているのが強みです。

かつてリーマンショックのあった年には、サラリーマンの平均年収が数10万円も下落しました。

こうした政治・経済情勢による影響だけでなく、経営不振で賞与がなくなってしまったり、リストラされたり、という不安は看護師にはほとんどありません。

多くの病院は慢性的な人手不足なので、例えリストラされてもすぐに次の職場を選ぶことができ、収入がなくなって生活が成り立たなくなる心配がないのです。

この安定した職種環境というのは、とても恵まれたものです。

看護師から違う職種へ様々な将来像がある

看護師は病院や施設などで看護をするだけでなく、研究職や看護教員になることや、独立して訪問看護ステーションを起業することもでき、様々な将来像が描ける職種でもあります。

どのような看護をしたいか、という理想だけではなく、働くことで得られるものを現実的に考えた時にキャリアを活かして様々な職種を選択できるので、将来的にも長く社会貢献できるのではないでしょうか。

男性看護師の転職給与と将来性のまとめ

男性看護師転職の給与と将来性
看護師が活躍する環境は様々ですが、その多くは女性中心のため男性看護師が働きやすい職場環境づくりは現場の課題でもあります。

高齢者の看護や介護が増えている中、男性看護師の需要は確実に増えていくこと、管理職などの役職を希望すると安定した高給与が望めることから、男性看護師は将来性への期待が持てる職業だと言えるでしょう。

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