病院やクリニックでよく処方されるヒルドイド。アトピー性皮膚炎をはじめ、さまざまな病気に使われています。
一般名はヘパリン類似物質と言います。一時期はテレビでも処方され過ぎて問題視されました。
その作用や期待される効果には、どのようなものがあるのでしょうか。また、長期的に使用した場合などにも副作用は少ないと言えるのでしょうか。
私は、看護師としてスキンケアの専門家である資格(認定看護師と言います)を有し、患者さんや地域でスキンケアの指導や教育を行っています。
本記事は、スキンケアに悩まれている方や乾燥肌で困っている方へ、ヒルドイドについてお話していきます。
ヒルドイドとは
ピンク色の容器に入っているヒルドイド。その成分はヘパリン類似物質というものが入っています。
成分名そのものは聞きなじみがないですが、ヘパリン類似物質は、乾燥肌対策成分として50年以上昔から日本国内で使われています。
実際に、乾燥した肌の治療として処方される医薬品名は、「ヒルドイド」の他に「ビーソフテン」「ホソイドン」などがあります。
ヘパリン類似物質には重篤な副作用がないため、赤ちゃんや子供、大人と年代を問わず乾燥肌のケアに使用したり、アトピー性皮膚炎には外用ステロイドと一緒に併用したりすることもあります。
ヘパリン類似物質の作用
ヘパリン類似物質には、「保湿作用」「抗炎症作用」「血行促進作用」の3つの作用があります。
血栓性静脈炎や血行障害による痛み、腱鞘炎や筋肉痛などに効果があるとされている薬です。
また、血液の凝固を防ぐ薬として研究が進められており、血液が固まるのを抑制する効果も認められます。
また、肌表面にある角質が水分を蓄える力を強める作用があり、乾燥肌の改善に効果が期待できます。
2007年に公開された研究結果によると、乾燥肌の方にも肌の保湿能力を改善する作用が見られ、肌のバリア機能を改善する効果が認められています。
ヒルドイドの効果
ヒルドイドに期待できる効果のひとつとして、新陳代謝を促し、弱った肌バリア機能を取り戻すことがあげられます。
ワセリンなどの保湿成分は、肌の表面に留まって一時的に肌からの水分蒸発を防ぐことによる保湿効果が期待されますが、ヘパリン類似物質の場合は一時的な保湿に留まらず、乾燥による肌荒れの根本的な改善に繋がります。
また、炎症を抑える効能も期待できるため、乾燥によって荒れてしまった肌の修復を早めることが期待できます。
ヒルドイドの使い方
ヒルドイドには、さまざまな形態があります。どのような形態のものを使用すればよいのでしょうか。
また、効果を十分に得る使い方について話していきます。
ヒルドイドの使い分け
ヒルドイドの成分でヘパリン類似物質が配合された保湿剤には、さまざまな形態があります。
油性クリーム、ローション、外用スプレーなどです。
肌の状態、用途や使用感に応じて適切なものを選んでいきましょう。
一番保湿効果が高いのはクリームですが、ベタつきが気になるという人も多いかもしれません。
冬場は浸透力・持続力の高いクリームを使い、ベタつきが気になりがちな夏場はローションにするといったように使い分けする方法がおすすめです。
効果的な使用法
十分な量を指先だけではなく、手のひら全体を使って丁寧に馴染ませていくと効果的です。
少ない量をこするように塗っていると効果が少ないばかりか、摩擦で皮膚の炎症や乾燥が悪化する可能性があるので注意が必要です。
しかし、血液の凝固を防ぐ作用があるので、傷のある場所や、ジュクジュクとただれている場所では逆に悪化させる恐れがあります。
直接塗るのは避けたほうがよいでしょう。
ヒルドイドの副作用
ヒルドイドの副作用、ヘパリン類似物質は作用がおだやかで、副作用はほとんどないとされています。
肌の疾患で長期的に使用している方もいます。
ただし、まれに発疹や肌の赤み、かゆみ、皮膚のピリピリ感が出る可能性があります。
また、血液を固まりにくくする性質があることから、血友病や血小板減少症といった出血性の病気の方は使用は控えて下さい。
乾燥肌には効果的
ヘパリン類似物質には、肌バリア機能の改善を助けて乾燥肌に根本から対処する効果が期待されます。
作用はおだやかで、重い副作用の心配も非常に少ない薬です。
悩まれている方は、皮膚科の医師に相談してみてください。