ペップトークとは?
ペップトークとはアメリカでスポーツの試合前に監督やコーチといった指導的な立場にある人が“本番で頑張ってほしい選手たちに対して贈る激励のショートスピーチ”のことをペップトークと言っています。
ペップとは「元気」「活気」 を意味し、これらを選手に与えることで選手たちの心に火をつける言葉がペップトークです。
ペップトークの特徴
ペップトークは日本を代表するアスレチックトレーナーの岩﨑由純氏がアメリカのスポーツ現場で学んだ「勇気を与える感動のスピーチ」を、自分、家族、仲間に伝えるコミュニケーションスキルとして確立したものです。
その為、スポーツ現場はもちろん、家庭で、職場で、教育現場ですぐに実践できるシンプルでポジティブな言葉を使ったコミュニケーションになります。
- 誰でも学べる
- 学んだらすぐ使える
- いつでもどこでも使える
- 簡単に使える
- 成果がすぐに出る
- ポジティブな人になる
参考:日本ペップトーク普及協会
ペップトークが体系化された背景
ペップトークは真剣勝負の試合前に、密室のロッカールームで行われていることが多く、選手以外に一般の人がその場に入ることはできない為、どんな内容が話されているのかがなかなか外部に出ることがありませんでした。
そもそも、そのロッカールームで話されている内容はある意味、企業秘密なので他のチームに聞かれたくないわけです。
その理由として、勝つための作戦を話しているので、自分達チーム内だけの情報でとどめておく必要がありました。
こうした背景もあり、ペップトークの情報はあまりなかったのですが、アメリカではスポーツ映画の中にこのペップトークのシーン(試合前に指導者から選手に話す、激励のスピーチ)がたくさん登場していました。
そこで、日本ペップトーク普及協会では1,000本以上のスポーツ映画の中に見られるペップトークを分析し、どんなペップトークが話されているかという事を研究しました。
そうすると、ある法則が見えてきました。それは、7つのフレームで最初にこんなことを話して、次にこんなことを話して、次は…とパターンがあることを発見したのです。
しかし、この7つの基本パターンを発見したものの、本番直前に7つを正確につなげて話していくという事は、なかなか難しいと判断し、更に指導者たちのペップトークを分析してみると、4つのシンプルなパターンになるという事がわかりました。
ペップトークの必勝4パターン
参考:gqjapan
それが「需要」⇒「承認」⇒「行動」⇒「激励」のパターンです。
このパターンをペップトーク内では必勝パターンとして行っていました。
私たちがこれを実践しようとすると、ついついこの4つの必勝パターンではない切り口からアプローチしてしまうことがよくあります。
これが、非常に残念なパターンで、相手のやる気や気持ちを引き出したいけどなかなか上手くいかないという時は、この4つの必勝パターンに沿っていない可能性が高いのです。
ここからは、この4パターンを例を交えて紹介していきます。
受容
受容というのは相手が置かれている状況、そして相手が感じている感情というのを受け入れるということです。
まずは、マイナスのことであってもマイナスを一旦しっかりと受け止めようということです。
特に本番直前というのは、選手たちは緊張したり、不安になったり、自信が低くなっているという事がよくあります。
それも含めて、受け入れる(受容する)という事が大切になります。
受容のポイントは「相手の状況を受け入れる」「感情を受ける」の2種類があります。
イメージとして、
「相手の状況を受け入れる」⇒「雪の影響でグラウンドが使えないにも関わらず、君達は出来る限りの練習をしてきた!」
「感情を受ける」⇒「病み上がりで不安があるかもしれないけど、試合までにきっちり直してきた君は本当に凄い!」
のようなイメージです。
しかし、この過程が抜けることが多いので、先ずは受容するということをしっかりと行いましょう。
承認
ここで捉え方を変換します。つまり、前の段階でマイナスの感情や状況を感じていたとしても、そこからプラスに転じていくということです。
捉え方を変えるというのは、現実に起きている状況を受け入れ、その中でもプラスの要素にフォーカスをしていきます。
つまり、捉え方を変えるポイントは「物の見方を変える」「ないもの(出来ていない所)ではなく出来ている所を見る」という事です。
イメージとして、
「ケガで練習が出来なかった」⇒「考える時間が出来た」⇒「強いメンタルを手に入れることが出来た」
のようなイメージです。
行動
現状を受け入れ、プラスに捉えることで、選手たちの気持ちは「出来るかもしれない!」「よしやろう!」という感情にシフトしていきます。
この段階で、「本番に何をしたらよいか」という行動を伝えていきます。
行動を伝えるときのポイントは「して欲しい言い方で相手に伝える」という事がポイントです。
指導者でNGな発言は、ついついしてほしくないことに否定系をつけて「ミスするなよ!」とか「気を抜くなよ!」などと言ってしまうことがあります。
しかし、これは脳科学的にいうと「マイナス(失敗)を連想させてしまう」のでNGなのです。
そこで、ダイレクトに「ベストを尽くせ」のような言葉掛けをするといいということがわかってきました。
上記を踏まえて、行動のポイントは「○○するな!(ネガティブ)」⇒「○○しよう!(ポジティブ)」と「勝てよ!(結果にフォーカス)」⇒「勝つために○○しよう!(行動にフォーカス)」になります。
激励
最後に激励で背中をポンと押すような言葉で締めて選手たちを本番に送り出すと、選手は「よしっ!やってやるぞ!」という気持ちで試合に向かうことが出来るのです。
激励のポイントはその時の状況や相手の性格を考えながら、強く激励した方がいいのか、冷静に激励した方がいいのかを調整して激励してあげることがポイントになります。
ペップトークの会話例
ペップトークは日本のドラマでも使われたことがあり、櫻井翔さんが主人公の「先に生まれただけの僕」のドラマ内で蒼井優さん演じる真柴先生がペップトークを勉強して実践するというシーンがあります。
その時の会話を分析した動画を紹介します。
▼ドラマ内で紹介されたペップトークの本
ペップトークを学ぶには?
主に3つの方法で学ぶことが可能です。
- 公演を聴いて学ぶ
- セミナーに参加して学ぶ
- 本を読んで学ぶ
公演とセミナーに関しては、日本ペップトーク普及協会のサイトを参考にすると良いと思います。
>>日本ペップトーク普及協会「学びたい方へ」のページ
本に関してはAmazonなどでペップトークと調べるとたくさんの書籍が出てくるので、自分にあったペップトークの本を見つけて読んでみると良いと思います。
私が読んで参考になったペップトークの書籍を紹介しておきます。
ペップトークのまとめ
「需要」⇒「承認」⇒「行動」⇒「激励」このパターンが選手(相手)をやる気にさせる言葉がけのコツみたいなものなのです。
ついつい私たちは、「需要」⇒「承認」を飛ばして「行動」だけにフォーカスして「これが出来ていないから、これをやろう!」のように言ってしまうことが多いのが現状です。
しかし、まずは相手がどんな状況か受け入れて(需要)、そしてプラスに転じて「よしやるぞっ!」という気持ちになってから(承認)「これやろうね!」(行動)と言ったほうが相手はやる気になるわけです。
このモチベーションの上昇が重要になります!皆さんもペップトークを意識して選手だけでなく、子供やパートナーとの関係をより良くしてみて下さい。