毎日同じことの繰り返しで刺激のない日々を送っている方、コロナなどにより日々不安をかかえている方、そういった人は少なくないのではないでしょうか。
ルーティンは悪いことではありませんが、たまに予定外の出来事をするという行動は楽しい経験になると思います。
また、コロナによって今までの生活が突然一変した人がほとんどかと思います。
今後も急激に変化する状況に適応していくことがより一層必要になってくるかもしれません。
そういうときに役に立つスキルが「心理的柔軟性」です。
心理的柔軟性とは
心理的柔軟性とは、「いま自分が行っていることに集中して取り組み、客観的に自分の思考や感情を見るための心のスペースを広げて、自分の大事にしたいことを目標に行動する能力」とされています。
簡単にいえば、今の自分の状態を客観的にみて、自分がどうしていきたいかを考えられる力ということです。
環境の変化によって、不安や恐怖、心配といった感情を抱くことになっても、それとうまく付き合っていかなければなりません。
昨今のコロナウイルスによる影響で、将来だけでなく、1か月後や1日後の生活に不安を抱える方も少なくないでしょう。
こうした不安と付き合っていくためにも、心理的柔軟性について知っておくことはきっと役に立つのではないかと思います。
また、心理的柔軟性は心理的安全性の担保が重要となってきます。
心理的柔軟性の低い人の特徴
心理的柔軟性の低い人がどういう特徴をもっているのかを知ることで、自分の柔軟性のレベルを考える一つの指標になるのではないかと思います。
もしくは、自分の周りにそういう人がいるなと思い浮かぶこともあるかもしれません。
自分自身の胸に手を当てて、考えてみましょう。
ここでは、心理的柔軟性の低い人の特徴を5点解説していきます。
面倒くさがり
一つ目の特徴は、基本的に面倒くさがりということです。
柔軟性の低い人は自分の気持ちしか考えないという傾向があるために、他人の気持ちより自分の気持ちを優先することが多いようです。
そのため、気が乗らないことに対しては面倒くさいと思う傾向があります。
頑固
柔軟性の低い人が頑固だというのは想像しやすいかもしれません。
自分の気持ちを一番に考えるために、意地を張り続ける頑固になってしまう傾向があります。
否定が多い
頑固にも通ずるものがありますが、自分の気持ちや意見を優先して考えるために、他人の気持ちや意見にすぐ反発するという行動をとる傾向があるようです。
周囲の人が自分と異なる行動をとろうとしても、頑なに自分の意見を曲げないことがみられるため、周囲との関係性に影響をもたらすこともあります。
人間関係が狭い
面倒くさがり、頑固といった特徴から、周囲の人から距離を置かれたり、自分からも特に交流を積極的に行わなかったりと、人間関係が狭い人が多いようです。
短気
柔軟性の低い人は、自分のイライラを他人のせいにして、その不満を他人にぶつけるような行動をとる人が多いようです。
あまりにもそういった行動が目立つと、他人から敬遠されるようになってしまうこともあるかもしれません。
アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)
アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)とは、認知行動療法もしくは臨床行動分析とよばれる心理療法のひとつです。
ACTによって心理的柔軟性の向上を目指すことができます。
ACTの目的は、不安や恐怖などを取り除くことではなく、そういった感情に対してオープンでいること、過剰反応しないこと、そしてそういった状況になることを避けずにいるといったことを学べるように促す心理療法なのです。
ACTの考え方
ACTの基本的な考え方は、「心理的苦痛は体験の回避や認知的な巻き込まれによって起こっていることが多い。
その結果、心理的柔軟性の低下が起こり、自身の中心的な価値に沿った行動がとれなくなる」というものです。
これをシンプルにまとめたものがFEARといわれる以下の4つになります。
Fusion with your thoughts:思考とフュージョンすること
Evaluation of experience:経験を評価すること
Avoidance of your experience:体験を回避すること
Reason-giving for your behavior:行動に理由を与えること
多くの問題が、この4つの結果として起こっているといわれます。
上記のような行動をいつもとっている方はいらっしゃいますでしょうか?
普段の自分の生活をよく振り返ってみてください。
心理的柔軟性を高める方法
心理的柔軟性を高めることができる6つのコアプロセスを、ACTでは提唱しています。
そのコアプロセスとは、こちらです。
- 脱フュージョン:思考や思想、記憶を「本物」として思い込む傾向を低減する方法を学ぶ
- アクセプタンス&ウィリングネス:望ましくない経験でも避けるのでなく、受け入れて受け流す
- 現在との接触:今・ここという状態を意識する
- 自己の観察:超越的に自己の感覚と接続する
- 価値:自分にとって何が一番大切なのかを判然とさせる
- コミットメント:価値に従った目標を設定し、それを確実に実行する
これだけ見てもすぐには理解できないかもしれません。
ですが、どういうことなのかを考えるという行為が心理的柔軟性をあげるための一歩だとも私は思います。
本記事では、軽く紹介するにとどまりましたが、この記事をみて少しでも興味がわいた方はぜひ深堀してみてください。
この記事がなにかのきっかけになっていただけたら幸いです。
心理的柔軟性まとめ
本記事では心理的柔軟性について、どういったものなのか、そして心理的柔軟性を向上させるための一つの考え方であるACTについてご紹介いたしました。
心理的柔軟性について学ぶことは、非常に良い自己研鑽だと思います。
興味のわいた方はぜひ調べてみて、向上のために行動を起こしてみてください。
参考
Harris, Russ (August 2006). “Embracing your demons: an overview of Acceptance and Commitment Therapy”. Psychotherapy in Australia 12 (4): 2–8.