今では、数多くの看護師求人情報が出されていますね。効率的によい求人を見つけるために、あなた自身の条件や希望をきちんと整理する必要があります。
私自身もキャリアアップとして複数回転職を繰り返しながら、認定看護師資格を取得しました。
本記事はより自分にあった働き方ができるよう、看護師求人サイトの選び方について話していきます。
看護師の資格について
看護師の資格として「正看護師」「准看護師」「認定看護師」「専門看護師」が挙げられます。
それぞれの概要と仕事内容について確認していきます。
「正看護師」「准看護師」の概要と仕事内容
看護師は「正看護師」と「準看護師」に分けられます。
「正看護師」は国家資格ですが「准看護師」は国家資格ではなく、基本的に「准看護師」は「正看護師」の指示を受けて業務を行う立場であるとされています。
しかし、実際の現場においては、両者の仕事内容に大きな差がないことも多いです。
明らかに差があるのが「給料」です。
「准看護師」に比べて「正看護師」が多いのが一般的で、年収で比較すると50万~100万円くらいの差があるとされています。
「認定看護師」と「専門看護師」について
「認定看護師」とは
認定看護師認定審査に合格した、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者とされています。
現在、21の看護分野が特定されており、熟練した看護技術をもとにレベルの高い看護を実践し、指導や相談を行います。
「専門看護師」とは
専門看護師認定審査に合格した、ある特定の専門分野において卓越した看護実践能力を有する者です。
13の分野が特定されており、卓越した看護の実践の他、相談や調整、教育や研究などの幅広い役割が求められます。
自分の資格にあった求人探しを
現在では大学病院などの大病院では「准看護師」よりも「正看護師」を優先して採用する傾向があります。
一方、小規模~中規模の病院では、資格を保有していればよいという求人が一般的です。
給料に差があるため、募集要項を「正看護師」と「准看護師」の二つの項目に分けていることが多いです。
「認定看護師」「専門看護師」などの資格は、求められる職場であれば、採用の決め手となることもあります。
ただし、資格を持っていれば、必ず給料がアップするとは限らないです。中には、仕事が増える上、日勤業務での仕事が主となるため夜勤が減って、給料自体は下がってしまうこともあります。
正当な評価をしてもらえる病院を探す必要があります。
キャリアアップしたければ、資格取得を目指す
「准看護師」に比べて「正看護師」は給料や待遇面で恵まれており、転職先の選択肢も広がります。
できれば「正看護師」の資格を取得することが好ましいです。
一方「認定看護師」や「専門看護師」の資格は、取得することで給料や待遇が良くなると確約できるものではありません。
しかし、看護師としてレベルアップできることはまちがいありませんし、日々のやりがいにつながって、看護師としての日々を充実させる一歩を踏み出せるかもしれません。
看護師求人の正しい選び方
100%希望通りの求人は、まず存在しません。
目指すのは、あなた自身の「希望」に近い職場を選出した上で、比較検討し、100%に近い求人を見つけ出すこと。
あなた自身の「条件」が病院の求める「条件」と合致することも重要です。
目指すべき年収や給与水準にあったものを
給料は多ければ多いに越したことはありません。
しかし、多くの給料を得るには、さまざまな条件が課せられるのが一般的です。選択の最優先事項が給料なら、これらの条件をのむ覚悟も必要です。
目指せる最高金額はだいたいこれくらいの金額です
看護師の平均年収は480万円くらいですが、看護師長クラスの給料では年収800万円レベルの人もいます。
将来このレベルをめざすつもりで転職を考えることも必要です。
▼給与だけを考えるなら
- 公務員として働ける病院や施設
- 地方よりは都市部の病院のほうが高額な傾向があり
- 基本給が高く、なおかつ手当が充実している病院
- 資格やスキルを高く評価してくれる病院
- 経営状態が安定している病院
- しっかりとした組織形態のある病院(上層部の意向で給与額が変わるような、あいまいな部分がないということ)
このような病院は求人も限られていますし、採用されるための「条件」のハードルが高い傾向があります。
中には、
- 劣悪な環境だが、給与額を大幅にアップしている病院
- 残業が多い病院
- 夜勤回数が多い病院
などを、選んで給与アップをはかることも一つの考えです。
自分が目指すべき年収や給与水準はいくらなのか、それを得るために病院から要求されることは何なのか、適応できる能力や体力、忍耐力が自分にはあるのか、などを考えていく必要があります。
働く場所はどこにするべきか
どのような場所で働くかは、とても重要です。
働いた経験のない場所に関するイメージがないという方も多いかもしれません。
それぞれの特徴について話していきます。
公的病院
国立病院や公立病院、その他の公的病院(日赤、労災病院、済生会など)を公的病院と呼びます。具体的な特徴を挙げていきます。
▼メリット
- 給与が高めで福利厚生が手厚い
- 組織形態がしっかりしている
- 教育体制や設備、マニュアルなどが整っている
- 看護内容に一貫性があり、全体的にレベルが高い傾向がある
▼デメリット
- 競争率が高く採用されにくいケースがある
- 仕事のレベルが高くハード
- 委員会、勉強会、研究発表などの負担がある
- 公務員として採用される場合は「失業保険の支給対象外である」「副職が禁止されている」などの制約がある
- 組織の枠組みに拘束される
民間病院
個人の医師や医療法人が経営している病院のことです。
民間病院は、その規模や経営状態によって格差があり、一般的には次のような傾向があります。
▼メリット
- アットホームで自由な雰囲気がある
- 仕事が楽なケースが多い
- 委員会、勉強会、研究発表など業務以外のことに縛られにくい
▼デメリット
- 公的病院に比べ給与が少ない傾向がある
- 病院によっては看護師のレベルが低く、仕事内容の一貫性に欠ける場合も
- 経営者や院長の意向で、給料や待遇などの変更があり得る
介護施設
「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」などがあります。
▼メリット
- 医療処置が少ないので精神的に楽
- 病院に比べるとゆったりと仕事できる
▼デメリット
- 医療処置や看護技術の向上が望めない
- 劣悪な環境の施設も存在する
- 介護職のスタッフとの人間関係が面倒
- 看護師の数が少なく、相談や指導の機会が得にくい
治験コーディネーター
治験業務全般をサポートするお仕事です。
一般の看護業務とは違い、パソコンでの事務作業や、ビジネスマナーなどの能力が強く求められます。
担当の医師や被験者、その他の関係部署とのコミュニケーション技術も重要でしょう。
看護師の資格を生かしつつ、OLさんの仕事をしてみたいという方や、社交的な方に向いているお仕事です
美容クリニック
給料は比較的多めであり、条件がよい職場を選べば仕事は病院に比べて楽なようです。
一方で、看護師としてのスキルアップは期待できない、ノルマが課せられる場合があるなどのデメリットも考えられます。
また、クリニックの特徴上、若くて見た目の良い人が採用される傾向があります。
働きたいのなら、一般的な病院とは違った面接での対策が必要になる場合があります。
保育園や幼稚園
保育士不足の影響もあり、保育園や幼稚園で看護師の求人を行うケースも増えているようです。
基本的な役割は、保育士の補助的な仕事を行いつつ、子供の急変やケガなどの初期対応や医療的な判断を下すこと。
施設内に看護師が一人だけというケースもあり、ある程度の責任を問われる仕事です。また勤務時間が日勤のみであり、残業が少ない施設が多いという点は大きなメリットです。
小児科の経験があると重宝されます。
体力的にきついケースも多いですので「子供好きである」というのは必須と言えそうです。
資格を活かした他の仕事としては
- 検診センター
- 訪問看護
- テーマパークの救護室で看護師として働く
- 旅行やイベントに看護師として付き添う
- 企業専属の看護師として働く(産業看護師)
- 医療機器メーカーで働く
- 看護師専門の記事を記載するライターとして収入を得る
などがあります。
看護師の資格と経験は、様々な働き方があります。
看護の領域別で考える
「外来看護師」の概要と仕事内容
病院の外来で働く看護師です。
患者さんの問診を取ったり、外来処置や診察の介助をしたり、入院や手術のための手続きを行ったりします。
小規模で手術を行わない病院であれば、日勤のみで残業もなく、楽な仕事であるケースが多いようです。
一方で、総合病院の外来看護師は、ハードな仕事内容である場合もあります。
部署にもよりますが、長時間の残業が当たり前だったり、人手の足りない他部署にまわされるため精神的にきつかったりするケースもあります。
「夜勤や残業ができない」「重労働が無理」「病棟の高度なレベルにはついていけない」などの理由で外来看護師を選ぶ人も多いです。
収入は病棟看護師に比べて低くなりますので、事前に仕事内容を把握しておくことが重要です。
「病棟看護師」の概要と仕事内容
病棟で勤務する看護師であり「夜勤」があるのが一般的です。
患者さんの入院中に必要な看護や医療処置を行い、医師に状況を報告し対処する、入退院の対応を行うなどの役割が求められます。
外来に比べて、仕事がハードで、夜勤もあるため給料は高めです。
「病棟看護師」を一定期間経験しておくと、基本的な看護技術や医療処置を学べるため看護師としてのレベルアップにつながります。転職にも有利です。
一方で、年齢を重ねた上で初めてチャレンジする場合や、長期間のブランク後に再挑戦する場合には、それなりの覚悟と努力が必要になります。
しっかりと見極めた上で、判断することが大切です。
「手術室看護師」の概要と仕事内容
総合病院の手術室で、すべての科の手術を請け負う部署として機能している場合もあれば勤務先の病院での手術担当という場合もあります。
手術の器具を準備し、環境を整え、手術介助を行うのが主な仕事です。医師の指示に即座に対応できる勘の良さや手先の器用さ、几帳面さが要求されます。
また、手術室看護師は、専門性を極めれば手術室で大変重宝される能力です。
求人においても「手術室経験者優遇」という条件をよく見かけます。
一方で、手術室看護師の経験しかない場合、部署移動を余儀なくされれば、病棟や外来でそのスキルを活かせる機会は、さほど多くありません。
部署移動した時点で、新たに病棟や外来の業務を覚えなおす必要があります。
「手術室看護師」を選ぶ際には、将来も見据えた上で、総合的な判断を下すべきでしょう。
「ICU看護師」の概要と仕事内容
実際に行う業務は病棟の看護師の業務とさほど変わりはありません。
大きく違うのは、患者さんの状態が重篤であるということ。
そのため専門的な知識や的確な判断、それに基づいた高度な技術が要求されます。
限られた空間で、同じ人たちと関わり続けるため、人間関係が面倒だという意見もあります。
精神的にも肉体的にもキツい部署であると言えますが、ICUでの経験は、確実にスキルアップにつながります。
重篤な状態の患者さんが徐々に回復し、一般病棟にうつることが可能になる経過を見守ることのできる喜びとやりがいのある部署でもあります。
向上心のある人、心身ともにたくましい人、緊急事態にも落ち着いて対応できる肝の据わった人が向いています。
働く人たちの人間関係で考える
「人間関係がよい」という求人は信用できるのか
時々「人間関係のよい、アットホームな病院です」などという求人を見かけることがあります。
そもそも人間関係のよい病院とは、どのような病院なのでしょうか。
「人間関係がよい」という条件は、実にあやふやで流動的、雲をつかむような話でありますし、実に不確かな情報です。
「人間関係が大丈夫」な職場を探すためには
「人間関係が大丈夫」な職場を探すためには、「人間関係がよい」という基準ではなく「無難に人間関係をこなしていけそう」という基準で選ぶべきだと思います。
まずは最低限の基準を満たしているかを確認しましょう。
給料や待遇に問題がなさそうなのに、評判が悪かったり、離職率が高かったりする病院は、人間関係に問題がありそうだと推測できます。
見学時のスタッフの印象では、明らかに人を見下したような対応や、モラルのない行動は論外です。
「直感的に『この人嫌だな』と感じる」「他のスタッフが明らかに煙たがっている」「威圧感を感じる」などの些細な兆候も無視できません。
次に、自分はその職場のスタッフと、うまくやっていけそうなのか考えてみましょう。
例えば、自分の年齢が高めであり、友人も同年齢の人が多いのに、若い看護師さんばかりの職場を選べば、人間関係に苦労するかもしれません。
自分が既婚者なのに独身の看護師さんが多い職場を選べば、勤務表や残業において、トラブルを起こす可能性が高くなります。
おとなしい人が、体育会系のハイテンションの人間関係になじむことは、大変です。
人間関係において完璧な職場をみつけることは困難です。
「人間関係がよい職場であるはず」だと受け身の姿勢でいるよりも「他の条件がよいから、ここは頑張ってなんとかしよう」と現実的な対応を念頭に行動する方が、成功する確率は格段に高いと思います。
雲をつかもうとするのではなく、成功のための最大限の努力をするべきです。
自分がやりがいを感じられる場所か?
その仕事を長く続けるため、モチベーションを保ち続けるためには、「やりがい」が必要です。
給料や将来性など、さまざまな条件が絡み合って、心が揺れ動くかもしれませんが「やりがい」を持てない仕事は、あなた自身の毎日を充実させてはくれません。
「子供が好きだから、やっぱり小児科が良い」「どうしても手術室の仕事がしたい」「お年寄りの気持ちに寄り添える仕事がしたいから、介護施設を選ぶ」などの思いがあるならば、その思いに素直に従うべきです。
夜勤について考える
夜勤には、手当が高額であり、確実な給与アップにつながります。一方で、精神的も体力的にもきつく、健康面の負担が大きい勤務でもあります。
まず考えるのは、夜勤をやりたいか、やりたくないかです。これによって、選択すべき病院が変わってきます。
一口に夜勤とはいっても「二交代制か三交代制か」「夜勤の回数は多いのか少ないのか」「当直勤務、夜勤専従などの選択肢はあるのか」などの、さまざまな条件があります。
どの条件の夜勤なら、やってもかまわないのかという線引きも必要になります。
若い看護師ならまだしも、年齢を重ねてはじめて夜勤にチャレンジするのは、ハードルが高いです。家庭の事情も大きく関係してきますし、自身の健康状態も判断の基準となります。
自信がなければ、はじめは回数を減らしてもらうなどの対策を講じてもらえる場合もあります。
転職先の施設と交渉してみましょう。
通勤で考える
ただでさえ大変な看護師の仕事、通勤しやすいほうがいいに決まっています。
距離ももちろんですが、交通手段も大事です。
徒歩圏内だからといって、夜勤で真夜中に出勤するのは危険ですし、公共の交通手段は三交代制の夜勤勤務の場合、利用できない時間帯があります。
また、若いころは特に苦痛だとは感じなかったけれども年齢を重ねるにつれ、長距離の車の運転が苦痛になってきたという看護師も居ます。
一方で、あまりにも自宅が病院に近いと、それはそれで面倒だという意見もあるようです。
寮がある病院も検討する
節約したいなら、病院が用意した寮に入るという選択もあります。
「古い」「汚い」などというイメージがありましたが、最近はそのようなイメージが一新された快適なものが多いです。
病院側が新築でオシャレなマンションを寮として借り上げ、礼金や敷金不要で家賃の50%以上を負担するなどという好条件の病院もあります。
引っ越し代を負担してくれるところもあるくらいです。
帰宅してまで、余計なストレスを抱えたくないという方は、安易に契約しないほうがいいかもしれません。
絶対に転職してはいけない病院
あなたの転職先は、本当に大丈夫ですか?
転職は、今後の看護師人生を左右する重大な決断です。
しっかりと情報収集をして、厳選した病院を選んだはずなのに、入社してみたら、とんでもないブラック病院だったなどという話、少なくありません。
そんな失敗をしないために、絶対に転職してはいけない病院の特徴について話していきます。
こんな病院はお勧めしません
離職率が高い病院
辞める看護師が多いということは、実際に働いてみて、この病院はダメだと結論付けた人が多いということです。
どう考えても、明るい未来が広がっているとは思えませんよね。
ネットで口コミが荒れている病院
ネットの口コミには、看護師の本音が隠されています。
すべてが真実だとは言いませんが、参考にはなります。
意外な落とし穴
給料が他と比べて高額な病院
どんなに募集しても看護師が集まらないような劣悪な環境の病院が高額な給料を提示して、とりあえず人員を確保しようと考えることがあります。
一時的に確保できても、結局はまた辞めてしまうので、根本的な解決策にはならないことがほとんどです。
給料さえよければと考えるのなら別ですが、あまりにも高額な場合は、その理由をよく調べてから決断するべきです。
あまりにも評判がよい病院
評判がよいのなら、いいじゃないかと思うかもしれませんが、よく考えてみて下さい。
評判がよいということは、患者の満足度が高いということ。
患者さんの満足度をあげるためには、かなりの努力が必要ですし、それを継続するため、さらなる努力を要求されます。
スタッフにとっては、良い職場ではないことも。
患者の希望が第一なので、病院の終了時間間際に何十人もの患者さんが押し寄せてくるため、外来のみでありながらいつも残業になることも。
患者にとっては、遅くまで開いているし、いつも職員が多く、丁寧に対応してもらえる良い病院だったかもしれません。
しかし、そのような病院が職員を大事にしているとは限りません。
転職を決意する際には「働いている職員が委縮している」「夜遅くまで働いている」などの様子が見られないか、確認してから決断することをお勧めします。
看護師人生を充実させるために
前向きに取り組めば、転職は必ずあなたの看護師人生を充実させてくれます。
大変なことも多いと思いますが、あきらめずに、何より自分のために頑張ってもらえたらと思います。