「睡眠負債」という言葉を耳にしたことはありますか?
睡眠負債とは、睡眠不足が蓄積されていく現象のことを言います。
睡眠については、世界で研究が行われており、睡眠負債についても、研究者が注目しているようです。
もしかしたら、実はあなたも睡眠負債が溜まってしまっているかもしれません。
この記事では、睡眠負債が身体に及ぼす影響や、睡眠負債の返済方法についてまとめていきたいと思います。
睡眠負債とは
そもそも睡眠は、睡眠物質が蓄積して眠くなり、眠っている間に睡眠物質が分解されて目が覚めるというメカニズムになっています。
睡眠物質には、眠気を引き起こすもの、睡眠を維持するものなど、いくつかの種類があると考えられています。
「メラトニン」や「トリプトファン」などのホルモンが比較的有名ではないでしょうか。
睡眠物質は起きて活動している間に蓄積していきます。
言ってしまえば、仕事や運動などをしていなくとも、起きているだけでいずれは眠くなるように人間の体はできています。
このメカニズムから考えてみると、いわゆる「寝だめ」という行為には意味がないと思われます。
睡眠中に、起きている間に溜まった睡眠物質を分解しているわけですから、睡眠物質が蓄積されていない状態では分解はできません。
日々の睡眠は、起きている間に蓄積する「借金」を、睡眠で「返済」するというイメージです。
そして、日々の睡眠で「返済」できなかったものが蓄積されたものが「睡眠負債」ということです。
睡眠負債の特徴
睡眠負債の特徴としてあげられることとしては、健康な人でも睡眠負債は溜まっている可能性があるということ、そして自覚がない場合が多いということです。
睡眠負債が溜まっている状態が長く続くと、それがごく通常かのように錯覚してしまい、気づいていない場合があります。
睡眠負債は睡眠障害と異なり、眠れてはいますので、ある程度の回復はしています。
ただ、その回復量が不十分であるのです。
自覚のないまま睡眠負債が溜まり、パフォーマンスに影響を及ぼしているかもしれません。
睡眠負債の悪影響
睡眠負債が溜まると、生活中に眠気が強くなっていきます。
慢性的な睡眠不足であるということです。
出勤・通学する日に比べ、休日の睡眠時間が長くなる人は普段の睡眠時間が不足しているかもしれません。
睡眠負債によって脳の働きが低下し、様々な影響を及ぼすようになっていきます。
疲労感、倦怠感、無気力、不安、注意力散漫、攻撃性の高まり、食欲不振や胃腸障害、風邪をひきやすくなるなどの症状が現れるようです。
こういった症状は睡眠不足でみられる症状ですが、負債が溜まっていくにつれて症状が増加、悪化していくという認識で問題ないかと思います。
脳の働きの低下は、仕事や学力のパフォーマンス低下につながります。
しっかりと睡眠をとれているときには起こさないミスでも、睡眠不足の状態では起こしてしまうことがあるということは、時には交通事故などの取り返しのつかない大きな問題に発展する可能性もあります。
そう考えると、睡眠負債の溜まっている状態がいかに危険かがわかっていただけるのではないでしょうか。
また、危険というだけでなく、経済的にも影響が出ているといわれています。
睡眠不足による経済損失額は日本全体で年間約15兆円にものぼるそうです。
アメリカにおける経済損失額も4110億ドル(約44兆円)にのぼるそうで、大きな問題となっています。
出典: 「Why Sleep Matters: Quantifying the Economic Costs of Insufficient Sleep」/RAND CORPORATION
睡眠負債の返済法
睡眠負債の影響力がわかったところで、負債をどうやって返済していくかについて話したいと思います。
いうまでもなく、毎日の睡眠時間が確保できていない方は、しっかりと時間をとるようにしていただきたいと思います。
とは言え、しっかり睡眠負債を抱える人は、仕事などでなかなか十分な睡眠時間が確保できない方も多いかと思います。
そこで、医学博士の西野先生が執筆した「スタンフォード式 最高の睡眠」に取りあげられている、3つのポイントを紹介します。
ポイントは睡眠の長さ(量)ではなく、質を重視するという事です。
眠りはじめの90分を大事にする
眠りはじめの90分間に、健康にかかせない成長ホルモンの分泌が活発的に行われます。
この「黄金の90分」にしっかりと睡眠をとれるように、睡眠の環境を整えたり、夜更かししないで健康的な時間に寝るようにしましょう。
お昼の仮眠をとる
仮眠が効果的であるという話は、私の身の回りにもだんだんと広がってきているのではないでしょうか。
Googleやナイキなどでは社員に対して昼寝を推奨しているそうです。
眠気が訪れやすい昼過ぎに、15~20分程度の仮眠をとることで、集中力が高まり、パフォーマンスは向上すると考えられています。
朝活
起きてすぐは誰でもぼーっとしてしまうものです。
朝活をすることで、身体や脳を起こし、体内時計をリセットしましょう。
ここでいう朝活の例としては
- 日光を浴びる
- スリッパは使わずに、裸足で過ごす
- 冷たい水で手を洗う
といったことで、脳に刺激を与え身体を目覚めさせます。
また、朝活をするためには早起きは必須なので、早起きするために前日の夜にダラダラと夜更かししてしまうのを防ぐ事も出来るかもしれません。
睡眠負債のチェック
今あなたに睡眠負債がどれほど蓄積しているかを、簡易的に調べるチェックリストもあります。
こちらのサイトでは、滋賀医科大学の角谷教授が監修したチェックリストが紹介されています。
気になる方はぜひ一度やってみてはいかがでしょうか。
https://www.slept.jp/sleep-debt/sleepdebt-checklist/
睡眠負債まとめ
この記事では、睡眠負債とは何かを紹介し、その影響から改善方法までを説明いたしました。
この記事を通して、睡眠の重要性がわかっていただけたのではないでしょうか。
これをきっかけとして、睡眠と向き合い、パフォーマンスを向上させていきましょう!