アクティブリカバリーという言葉をご存知ですか?
普段積極的にトレーニングを行うことがない方には、あまり馴染みがない言葉かもしれません。
アクティブリカバリーは、疲労や筋肉痛を和らげることができる休息の方法をいいます。
運動やトレーニングを行う方はアクティブリカバリーを実践し、競技のパフォーマンスを向上してみましょう!
アクティブリカバリーとは
Jリーグやプロ野球など多くのスポーツで、疲労回復の促進を目的としてアクティブリカバリーが注目されています。
アクティブリカバリーとは、比較的強度の軽い有酸素運動を行うことによる疲労の回復方法で、軽い有酸素運動は疲労回復の促進をすることができます。
疲労回復には安静状態を保つことが効果的であると思われがちですが、軽い運動や入浴、マッサージ、ストレッチなどの血行促進を行ったほうが結果的に疲労回復には効果的だったそうです。
これは、血行促進によって体内に蓄積した乳酸などの疲労物質や損傷した筋肉を取り除き、新鮮な酸素や栄養を運ぶことができるためです。
実際のスポーツの現場ではクーリングダウンとしてランニングやストレッチ、水中運動などが取り入れられているのはみなさんもご存知のことかと思います。
いわゆる、これがアクティブリカバリーです。
疲労の原因
そもそも疲労とは、どんなものなのかご存知ですか?
運動に起因する身体的疲労には、大きく分けて4つあるといわれています。
それぞれの原因や疲労回復速度には違いがあります。
それらを認識しておくことは、アクティブリカバリーやトレーニングを行う上で非常に役立つと思います。
それぞれの疲労について解説していきます。
クレアチンリン酸の枯渇
クレアチンリン酸は、スプリント(短距離力走・短距離力泳など)やレジスタンストレーニング(筋肉に負荷を与えるトレーニング)など、瞬発的な運動で使用されるエネルギー源です。
このエネルギー源は持続性がなく、全力運動を10秒ほど繰り返すだけで全て消費されてしまうほどです。
しかし消費が早い分、回復も比較的早い特徴を持っています。
枯渇状態からでも、約4分で90%近く回復し、約8分あればほぼ回復するようです。
したがって、クレアチンリン酸の枯渇は翌日以降に残る疲労ではなく、競技中での影響が大きいということになります。
筋の酸化
激しい運動をするなどによって、乳酸や無機リン酸といった、水素イオンを血液や筋肉に蓄積させて酸性にする物質が生成されます。
筋繊維や神経、酵素などの周囲の環境のpHが下がり(酸性になり)、それによってパフォーマンスが下がります。
このような状況では、重炭酸イオン(アルカリイオン)で水素イオン(酸性イオン)を中和して、回復を行います。
これを筋緩衝能といいます。
筋緩衝能の回復速度もはやく、翌日までには回復するといわれています。
筋損傷
筋損傷は、運動量やスポーツの種類などによってどれほどダメージを受けるかは異なるため、一概に回復期間の目安は言えません。
しかし、多くの場合で回復には数日かかるそうです。
したがって、試合翌日以降の回復の1つの目的が筋損傷回復になります。
筋グリコーゲンの枯渇
筋肉中に存在するグリコーゲンは、エネルギー源であるATPを生成する過程で消費されていきます。
激しい運動を繰り返すほど、どんどん枯渇します。
グリコーゲンの枯渇によって、スピード、持久力が落ちてしまうのです。
枯渇したグリコーゲンの回復にも約3日の時間が必要だといわれています。
各疲労についての回復のまとめ
- クレアチンリン酸の枯渇⇒約8分で回復
- 筋の酸化⇒翌日までには回復
- 筋損傷⇒ダメージのレベルによるが数日で回復
- 筋グリコーゲンの枯渇⇒約3日で回復
上記で説明したように疲労の種類によっても、回復する時間や期間が変わってきます。
そう考えると、疲労に合わせて休息の方法も調整していく必要があるのは納得できますね。
アクティブリカバリーに関する研究
アクティブリカバリーについて調査した研究も行われています。
伊藤ら(2017)の研究では、陸上競技におけるリカバリー法が検討されており、陸上や水中でのウォーキングによって血中乳酸濃度が下がっていることがかかれています。
しかし、様々な条件や環境によっては、あまり効果がないという研究結果も見受けられました。
今後の研究次第で、アクティブリカバリーを実用化する上で、よりわかりやすい指標が得られるのではないかと私は思っています。
また、アクティブリカバリーを促進する補助アイテムのようなものも販売されているようです。
アクティブリカバリータイツ、ドリンクなどのアイテムがありますので、ぜひ有効活用してアクティブリカバリーに取り組んでみてください。
アクティブリカバリーまとめ
今回は、アクティブリカバリーについて紹介しました。
運動を普段から行う人にも、久々に運動するから翌日以降に残る筋肉痛が怖いという方にも参考になる内容だったのではないでしょうか。
本記事の内容が、読んでいただいた方へ少しでもお役に立てば幸いです。