ゴールデンエイジとは「一生に一度の運動発達黄金期」です。
およそ3〜12歳頃までのことを示し、体を動かして遊ぶことが大切な時期となってきます。
ゴールデンエイジの時期に子供はどのような運動を行えばよいか、ゴールデンエイジにとって良い生活スタイルはどのようなことか、論文などを踏まえ科学的根拠のある視点から解説していきます。
ゴールデンエイジの基礎知識
前述したとおりゴールデンエイジとは、3~12歳までの幼児期のことであり、運動の基礎を作るのに適した時期となっています。
まずはゴールデンエイジの分類をみてみましょう。
プレゴールデンエイジ(3〜8歳頃)
幼児期は運動機能をはじめとした重要な成長時期です。
コーディネーション能力と呼ばれる身体機能の調整力を育てる時期でもあります。
どんなことにも興味を持つので、遊びを中心に体を動かしてあげることをオススメします。
遊びと運動を合わせているので「運動遊び」と言われています。
運動遊びとはわかりやすいものでかくれんぼ、鬼ごっこ、ボール遊びなど身体を使った遊びをイメージするとわかりやすいでしょう。
ゴールデンエイジ(9〜12歳頃)
小学生の中〜後半期です。
運動に関わる神経系が12歳までに100%となります。
そのため小学生は多くの動きを習得できる筋トレが適しています。
例えば、
- 水泳
- サッカー
- 野球
などです。
例えで紹介した種目でも投げる、蹴る、泳ぐなど複雑な動きも含まれていますので、小学生の時期にできる限り多くの運動を行い、動きを習得できると良いでしょう。
ポストゴールデンエイジ(13〜15歳頃)
ゴールデンエイジを過ぎた中学生頃の時期です。
身長、体重などが急激な成長とともに発達していきます。
成長が急なため今までの感覚と異なり、運動神経のアンバランスさが生じ、動きが思ったとおりに動かせなくなる場合があります。
しかし、骨格の発達に合わせた軽めのトレーニングを積むことにより、高校生になった際の筋力アップに繋がる準備期間となります。
特に心肺機能が発達する時期となりますので、走ることで持久力を養うことが良いとされております。
ゴールデンエイジを細かくみていくと、それぞれの時期によりどんな運動方法を行なっていくか変わってくることがわかります。
子供の筋トレで詳しく調べたい方は、別記事でまとめましたので参考にしてください。
次に、ゴールデンエイジに身体のどの部位がどの程度鍛えられるかをみた発育パターンを図式で見てみましょう。
スキャモンの発達発育曲線
上のグラフがスキャモンの発育曲線と呼ばれるものです。
初めて見る方も多いと思いますが、子供の時期(何歳)にどういった体の部位が発達していくかを図式化したものです。
「2016 公立はこだて未来大学 プロジェクト こころの科学について学ぼう」というサイトから図をお借りしております。
はこだてみらい大学様の実験によると、運動神経をよくするには0〜6歳の生活が重要と考察したようです。
スキャモンの観点から見てもゴールデンエイジ(プレゴールデンエイジ含む)に運動を積極的に行うことが重要だとわかります。
運動の基礎を知る(運動ピラミッド)
では、ゴールデンエイジにおける運動はどのようなことを行えば良いでしょうか。
それには運動の基礎を知る必要があります。
子供の成長における基盤を運動ピラミッドの形で図解しております。
3つの分類でまとめましたのでみていきましょう。
基礎的運動
下段が基礎的運動です。
名前の通り「立つ」「歩く」「走る」など子供のうちからできる基本運動のことを示します。
- 姿勢制御運動【立つ・寝る・回るなど】
- 移動運動【歩く・走る・飛ぶなど】
- 操作運動【打つ・蹴る・投げるなど】
の3つが含まれます。
コーディネーション運動
中段がコーディネーション運動です。
脳と体のつながりを伴った運動になります。
コーディネーション運動に関わる能力は子供の時期に急激に向上しますので、様々な動作を身に付けることが良いとされている時期となります。
(詳細は次項にお話しします)
スポーツ競技
最後のステージがサッカー、バレエなど具体的な種目となります。
この段階まで来て、初めてスポーツのレベルになってくるのです。
その為、ゴールデンエイジの期間はしっかりと動作の基本を押さえておくことがポイントになります。
基礎が出来ていない状態で応用をしていると考えると、いかにゴールデンエイジにおける基礎運動やコーディネーション運動が重要かという事がわかると思います。
運動の基礎知識は深まりましたでしょうか。
次項でゴールデンエイジと運動の基礎の関係性をみていきましょう。
コーディネーション運動とゴールデンエイジの関係
ゴールデンエイジの時期では基礎と応用とが混ざりあっていく時期となります。
そのため、トレーニングを行うには適した時期があるということが理解できます。
運動神経が発達するゴールデンエイジの時期に行うのはコーディネーション運動。
そこで、必要不可欠であるコーディネーション能力とコーディネーション能力を鍛える運動をどうすれば良いか見ていきましょう。
コーディネーション能力とは
コーディネーション能力とは、身体機能の調整力を示します。
コーディネーション能力については次の7つに分類できます。
- 定位能力 :周囲の状況を関連付け、動きの変化を調整する力
- 変換能力 :状況変化時に、次の動作を素早く切り替える力
- リズム能力 :耳や目などからの情報を動きによって表し、行動を具現化する力
- 反応能力 : 合図を素早く察知、適宜正確に素早く反応する力
- バランス能力:空中、動作時のバランス維持、崩れた姿勢を立て直す力
- 連結能力 :関節、筋肉の動きを理解し、タイミングよくスムーズに動くための力
- 識別能力 :視覚を主とし、身体の全ての部位との関係を連携させ調整する力
どの能力もバランス良く鍛えていく必要があります。
適切に行うにはどういったトレーニングが有効であるのか、次のおすすめコーディネーション運動を確認してみましょう。
参考にさせていただいたのは「fungoalさん コーディネーショントレーニングとは?」の記事となります。
おすすめコーディネーション運動3選
けんけんぱ (リズム能力など)
適切な距離に輪を置き、輪に応じてリズムよくジャンプしていきます。
1つの輪には片方ずつしか入れません。
40cmの輪を飛んで入るのに適切な距離をあけ床に置いていきましょう。
輪に応じてけんけんぱを行うことで、リズム能力などが鍛えられます。
バランスストーン (バランス能力など)
バランスストーンという石を模した道具に飛び移っていきます。
片足で着地、両足で着地などいろんなジャンプ遊びが楽しめます。
石に飛び移る遊びである一方、遊び方はいろいろ。
片足のみ使って移っていくことや、石の上だけで繰り広げられる鬼ごっこもできます。
遊ぶ際は転倒する恐れもありますので、周りに怪我をするものがないか確認して使用しましょう。
指示通りジャンプ (反応能力など)
「前」「後ろ」「右」「左」と指示を行い、指示通りにジャンプします。
飛んだ後にどこまで飛べば良いか目印があるとさらにわかりやすくなります。
ビニール製のチューブで持ち運びが便利なツールです。
アジリティ(敏捷性)が鍛えられ、アレンジを加えたい際はマニュアルもあるので安心です。
ゴールデンエイジと睡眠の関係
最後に、ゴールデンエイジと睡眠の関係を解説していきます。
睡眠は量よりも質によって日々の生活に影響を与えてきます。
ゴールデンエイジの時期でも同様なことが言え、次の効果がもたらされます。
- 疲労回復
- ストレス解消
- 記憶の定借
- 成長ホルモンの分泌促進
では、どの程度寝ることがゴールデンエイジの時期では推奨されるのでしょうか。
どのくらい寝るのが良いの?
睡眠が不足すると運動の質の低下や怪我が起きやすくなるということが知られています。
睡眠時間の推奨は、諸説ありますが9〜10時間前後が良いとされています。
睡眠により成長ホルモンの分泌が増進されるためです。
前述したとおり、時間もさることながら質も大事になりますので、寝る前のテレビやスマートフォンでの動画をみることは控え、寝るためだけの環境を整えてあげましょう。
ゴールデンエイジのまとめ
記事を通してゴールデンエイジという一生に一度しかない時間を大切にしてあげることが大事だと気づいていただければライター冥利に尽きます。
子供だけが考える遊びだと好きなことに集中して偏りが出てしまうかもしれません。
親も子供と一緒に遊びを考え、ゴールデンエイジの時間を有意義に過ごし、子供の成長を見守っていくことも親の役割なのかもしれませんね。